
金(きん)の美しさは、どこか特別な感じがするのはどうしてだろう。
夕暮れ時、遠い山の稜線にこの上なく金色に輝く太陽が沈むのを見ると、何とも言えずあたたかい心持ちになり、秋には黄金色に揺れる稲穂に、豊かな神々しさを感じる。
蒔絵用の金銀箔粉製造販売をされている、創業150年の東京銀座の浅野商店さんのこと。
金継ぎ=金色、金で修復すること、という印象を持つ人は多いが、漆を使った多くの工程を経て、ようやく最後に化粧として金属粉を蒔くもので、使う方のお好みと、金属アレルギーに配慮しながら、金、銀、白金、銅、真鍮、錫などを選んで仕上げる。
長い長い漆芸の歴史の中で蒔絵技法が育まれ、そこに禅の思想を伴った侘茶の文化が相まって陶磁のうつわを直すために取り入れられたのが金継ぎの始まり。
当時は日本でも金が潤沢に採れたそうで、今よりも身近なものだったといわれている。
その頃から、採取された金は手間と時間をかけて粉、箔、平たい形、粒など、さらに粒子の種類を極々細かいものから、大きいものまで丁寧に分けて加工する技術が綿々と受け継がれてきた。
手間と時間をかけて作られた粉を蒔く時は、暑くても寒くても空調を切り、窓を閉め、息を殺して取りかかる。
わずかな空気の流れでも、粉が舞い広がってしまわないように。
人の手を経てここまで美しい材料になるのだと、ため息が出ると同時に自分の手もその使われる過程の一端を担っていることに、緊張とともに嬉しい気持ちになる。これはまた手しごとをする者の幸せかもしれない。
浅野商店さんの製造の過程は、SNSからも写真や動画で見せていただくことができる。

引用させていいただきました

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